在パキスタン日本国大使館に勤務して
記事カテゴリ:所属弁護士の活動
2021年11月
弁護士 土居 竹美
1 はじめに
小職は、外務省任期付公務員として、在パキスタン日本国大使館に赴任した。赴任前に尊敬している諸先輩方から「実りある経験ができるでしょう」とおっしゃっていただいた通り、ダイナミックな動きを見せる国際情勢の影響を強く受ける地域での勤務は外交的な要素を意識することが多く、大変勉強させていただいた。パキスタンは南アジアに位置し、アフガニスタンはパキスタンの隣国となり、両国の国境は約2400㎞の距離になる。
2 首都イスラマバードでの生活
首都イスラマバードは、100万人超の都市であり、政治及び行政機能が一カ所に集中しているものの、これら重要地域には入域制限があり、当該地域及びその周辺エリアの治安は安定している。安全対策をしっかり行った上で慎重な行動が求められるが、身体を動かしたり、息を抜ける施設等もあり、少なくとも小職は快適に過ごすことができた。またパキスタン人の多くは親日であり、人間として、今後も付き合っていきたいと思えるような素晴らしい方々と接することができたのは嬉しかった。さらには、日本よりいわゆる「夏」の期間が長く、快晴が続き、その点で快適であり、6月頃-9月頃まで出回る世界一糖度が高いパキスタン・マンゴーやビリヤニなどの料理を楽しむことができる。勤務終了後に地元のマーケットに立ち寄り、地元民に交じって揚げ物などを購入し、ローカルフードを楽しんだのはいい思い出である。なお、小職は幸運にもお腹が強い方であったが、お腹が弱い方々は、パキスタンでの食生活は注意が必要である。
余談ではあるが、一つの気付きとして、日本と違いパキスタンでは「猫」が比較的可愛がられている。スーパーに猫用品が多く並んでいるのみならず(犬関連製品は少い)、野良猫も多く、日本と違い野良猫の餌やりも散見され、モスクの近くでは野良猫に毎回食事を与えている者もいる。パキスタンの野良猫を観察すると、キジトラ、キジ白、三毛猫、黒白ハチワレ、白猫、黒猫等がおり、日本の雑種猫とあまり変わりなかったのが印象的でとても可愛く癒された。
3 パキスタンのご紹介~観光~
隣国のアフガニスタンで政権が代わり、世論も関心が高い時期ということもあって本トピックを掲載するか悩んだが、パキスタンのご紹介という意味で掲載することをお許しいただきたい。
パキスタンには有名な世界遺産が多数有り、例えば、インダス文明のモヘンジョダロの遺跡群、イスラマバード近郊のガンダーラ美術で有名なタキシラ遺跡等6つもの世界遺産が登録されている。また、世界第2位の高峰K2を擁するカラコルム山脈、桃源郷フンザ等も有名で毎年世界各地から観光客が訪れる。特にフンザなどのパキスタン北西部への旅行は、多くのパキスタン人も訪れ、小職もパキスタン人からフンザに旅行に行ったか、行っていないのならいくべきだと何度も勧められた。残念ながら小職はコロナの影響で訪問できなかったが、状況が落ち着けば是非訪問したいと思っている。なお、訪問時期については、3月下旬フンザ周辺は杏の花が咲き、とても美しく、訪問時期として素晴らしいが、イスラマバードからのフライトは天候が安定しないため、よくキャンセルとなる。一方、夏は天候が安定するので、フンザ周辺には夏に行くことを勧められる。また、フンザ近くのK2のお膝元であるスカルドゥ近郊にあるセレナホテルはかつてのお城がベースとなっており、人気があるようである。
治安が不安定で訪問できない地域もあるが、一日も早く治安が安定し、多くの観光客がパキスタンの観光を楽しめるようになればと心から願っている。
なお余談として、日本は富士山関連商品が多く販売されているが、パキスタンでは、世界第2位の高峰K2グッズが町中にあふれているという状況にはない。K2のポスターすら販売されていない。この状況の違いを何人かのパキスタン人に話をしたが、苦笑いをされるか、日本は多様性があっていいなとうらやましがられるかの反応である。いつかパキスタンでK2が描かれたカーペット、マグカップ、絵画等を買ってみたいものである。