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パキスタン~難民の話~

記事カテゴリ:所属弁護士の活動

2021年11月

弁護士 土居 竹美

  1. 現在アフガニスタン難民が世界のニュースを駆け巡っている中、任期を終えて本帰国した今、彼らの置かれている厳しい状況に思いを馳せているところであるが、イスラマバードで生活をしていたところ、気付いた点を数点あげてみたい。
  2. パキスタンに居住するアフガニスタン難民は、1979年の旧ソビエト連邦のアフガニスタン侵攻以来、3世代目になっており、難民問題が常態化している。特にアフガニスタンとパキスタンの国境付近はパシュトゥーン人が多く、現地では2大国境(トルハム国境及びチャマン国境)があるものの、それ以外にも道は多数あるので、平時は普通に往来していたりする一方、同族であるからといって優しい対応ではない場合もあり、また祖国を知らないアフガニスタン難民3世代目もおり、現地の状況は複雑である。
  3. 現地で感心したことは、アフガニスタン難民をパキスタンの小学校等に受け入れており、アフガニスタン難民とパキスタン人の子供たちが机を並べて学習している姿である。決して十分なキャパシティが確保されているわけではないと思うのだが、ここまでに至った関係者の努力及びパキスタン政府の理解には小職自身少なからず心が動いた。
  4. そうはいっても、依然として難民に対する差別的な見方もあり、特に就業に関することになると難民にとって厳しい状況にあるのは確かだ。また、男女差別についても、特に地域的にみてもこの種の差別が当地では根強いものがあるのは確かである。イスラマバードで生活をしているとあまりピンとこないが、女子がパキスタンで生活する上で、地方に行けばより厳しい状況があることを日常生活の会話から気付くことが多々ある。難民の立場となると、より一層難民の女性が厳しい状況に立たされているのは想像に難くない。
  5. ところで、イスラマバードの街には、いろいろ「物売り」がおり、中には新聞を売っている「物売り」もいる。あるとき現地で活動するUNHCRの友人と話をしていて新聞の「物売り」の話になったとき、彼女は毎朝「物売り」から新聞を購入していることを知り、安全対策上、少々驚いたことを覚えている。彼女は、新聞を売っている「物売り」だけではなく、野良猫にも優しく(!)、事務所の野良猫(UNHCR猫)を保護していたようである(なお、彼女だけではなく、他のUNHCR職員も野良猫に優しくしていた。)。この心優しいUNHCR職員の方々を思い出すとき、関連性は薄いかもしれないが、アフガニスタン難民の保護を行っているUNHCR職員の方々の資質についても考えさせられたし、自らの職務以外のところで、「人間としての信頼ある行動」をとられていたのにも感心させられた。